第16章 探し物
「こんなところだからだろ。お前は俺の女だ。まわりにも知っておいてもらった方が都合がいい。お前に何かあったら、俺の耳にもお前の情報が入りやすくなるだろうしな。」
そう言って、リヴァイは飄々とユナの肩を抱き寄せた。
「おぉ!?あのリヴァイが、こんなにも積極的だなんて!」
大げさに驚くハンジは楽しそうだ。
そして、静観していたエルヴィン。
「・・・リヴァイ。公私混同は、」
「しねぇよ。だが、俺にも譲れないものはある。」
リヴァイはエルヴィンの言葉を遮り言い切る。
「・・・わかった。だが、くれぐれも慎めよ。」
「あぁ、可能な限りはな。」
エルヴィンの言葉に、リヴァイはそう答えた。
「まぁ、いいじゃないエルヴィン。リヴァイもちゃんと人を愛することのできる人間で、男だったってことだよ!」
うんうん、とハンジは一人陽気にエルヴィンとリヴァイの間に入っていく。
「・・・てめぇは巨人共しか愛することができねぇみたいだがな。」
リヴァイは眉間にシワを寄せて、ハンジを睨んだ。
ユナはそのやりとりを見ていた。
(仲良しだなぁ)
ふと、ユナは視線を感じた。
エルヴィンはユナを見ていた。
「君も・・・地下街にいたんだね?」
『・・・はい、そうです。』
「そうか。」
(?なんだろう?)
「リヴァイにも言ったが、君も兵団では規則を厳守し、過度な逸脱行為のないように。」
『は、はい!』
エルヴィンはユナに言った。
「おい、エルヴィン。頭の固い父親みてぇなことを言うな。気持ち悪い。」
「ははは、それは傷つくなぁ。」
(・・・やっぱり仲良しだ)
ユナはリヴァイとエルヴィンを交互に見てしみじみ思った。
その後、ユナはハンジの所で巨人への探求心を長~く語られたのだった。
ハンジの部屋から解放されたのは、夜になってからだった。
モブリットがハンジの所にユナを呼びに行かなければ、「巨人講座」は終わらなかっただろう。