第16章 探し物
『・・・ケニーにも?』
ユナは懐かしい名前を聞いて、自分とリヴァイを引き合わせた人物を思い出す。
「あぁ。ガキの頃、俺がケニーに地下街での生き方を教わってた時に聞いたことがある。・・・何か関わりがあるのかもな、ケニーと俺達は。」
『・・・ケニー、元気かな。私達がもう地下にいないことは知らないかな。』
「・・・さぁな。」
『あ。でも、リヴァイは有名だからわかってるかもよ!だってリヴァイ、「兵士長」だもん!』
ユナは、なぜか自慢げに話す。
「・・・ふっ、どうかな。ケニーのクソ野郎は、案外どこぞでくたばってるかもしれねぇさ。」
リヴァイは小さく鼻で笑いながら、ユナの頭を撫でる。
『地下街と言えば・・・リヴァイ。ファーランは?一緒に調査兵団に入らなかったの?ファーランは地下に残ったの?』
ファーランの所在を聞かれたリヴァイは、表情がなくなる。
『・・・リヴァイ?』
ユナは、黙りこみ俯くリヴァイに一抹の不安がよぎった。
「・・・ファーランは、俺と調査兵団に入った。そして、最初の壁外調査で巨人に喰われた。」
『・・・・・・。』
ユナは言葉を発せなかった。
いつも兄のように優しく見守ってくれていたファーラン。
リヴァイとファーランと3人で過ごした日々は、ユナにとって、大切な日常だった。
ユナの目から涙が落ちる。
しかしユナは、ファーランと一緒にいたリヴァイは彼を助けられなくて、一番悔しかったのではないかと思った。
ユナは先程から黙っているリヴァイに近づいて、リヴァイの顔を抱きしめた。
「っ・・・・!」
リヴァイは急にユナに抱きしめられ、驚く。
だが、ユナのこの抱擁の意味と思いを感じて、目元が細められてゆく。
「・・・お前のことは、守る。絶対に。」
(今度こそ、大切な家族を、大切なものを失ってたまるか)
リヴァイは、ユナの存在に心が癒されていくのを感じていた。
その後も、リヴァイが調査兵団に入団したいきさつや、ファーランと共に「イザベル」という少女も一緒にいた話などを聞くユナ。
『・・・そっか。私が地上に行ってから、リヴァイもいろんなことがあったんだね。』
「まぁ、そうだな・・・。」