第16章 探し物
「お前、体はちゃんとした医者にみてもらったんだろうな?」
リヴァイは気になっていたことをユナに問いかける。
『うん、ちゃんとみてもらって検査もしたよ。病院の先生からは、完治はしないけど、薬で症状を最小限にできるし、食生活で改善することもあるって・・・』
言ってみて、私を診察してくれた先生と最後に憲兵団の地下牢で会った時のことを思い出した。
「どうした?」
リヴァイは急に黙ったユナの様子を、怪訝そうに見る。
『・・・あのね、リヴァイ。私が憲兵に捕まったのって』
「お前の父親を追っていたのは憲兵達だったってことだろ?」
『・・・なんで知ってるの?』
「ノーマンが、お前のことを知らせてくれた。憲兵はお前は病死したと言ったそうだがな。」
『・・・うん。本当なら、私はあの時に憲兵に殺されてた。でも、先生が・・・私を診察した先生が私は病気でながくないから、放っておいてもいいだろうって言ってくれて、私を助けてくれたの。そして開拓地に送られたの。・・・でも、あれから 憲兵は私が生きていても何もして来ない。訓練兵団に入る時も何も。・・・なんか、おかしいというか・・・』
リヴァイは、隣に座るユナの手に自分の手を重ねて、優しく握る。
「憲兵だろうと、お前に指一本触れさせてたまるか。」
ユナは隣にいるリヴァイの存在を、これまで以上に頼もしく思い、嬉しくなる。
『ありがとう、リヴァイ。』
「じゃあ、体の方は大丈夫なのか?まぁ、調査兵団に入れたくらいだしな。」
『う、うん・・・。』
(どうしよう、話した方がいいかな・・・)
言い淀むユナ。
「・・・ん?何かあるようだな。」
『うん、あのね・・・。私、なんて言うか、力をコントロールするというか、集中すると力をすべて発揮できる感覚になることがあるの。訓練兵団に入ってから気づいたんだけど、その力をどうにか自分で自在に操れないか、たくさん特訓した。ある時から自分で引き出せるようにはなったよ。ただ、体力の消耗が激しくて、めまいや息切れが起こるんだ。普段はそんなことないんだけど。』
ユナが神妙な顔で話すと、リヴァイは
「・・・俺も、俺にも、そういう感覚があった。めまいやらの副作用はないがな。」
そして続けた。
「・・・ケニーにも、あったそうだ。」