第16章 探し物
リヴァイside
俺はユナとゆっくり話が出来る所へ場所を移すことにした。
俺の部屋なら、誰も入っては来られない。
途中、ハンジが俺達を探していたが、邪魔はされたくない。
物陰に隠れてハンジを撒いて、目的の部屋に急ぐ。
俺の腕の中にはユナの重みがある。
軽いが、俺の腕に小さくおさまるこいつは、小動物のようだ。
俺を見て、頬を赤く染めるユナ。
そう言や、さっきキスをして思った。
慣れてないキスの仕方。
ぎこちない舌の動き。
どうにか俺に応えようとする必死な様子が、昔のままのユナだった。
どうやら、俺と離れていた間、他の奴に何も仕込まれたりはしていないようだ。
それに、あれから今まで、ユナはどこで何をしていた?
憲兵に捕らわれて病死した話は嘘だったのか?
いつから訓練兵団に入った?
そして、なぜ調査兵団に来た?
聞きたいことは山ほどあった。
そして、言いたいこともある。
だが、今はそれよりも、ユナに触れていたかった。
俺がずっと、求めていたぬくもりが欲しかった。
俺は自分の部屋に入り、鍵をかける。
ユナをソファにおろすと、ユナの体に手を回して何度も抱きしめる。
今は1秒でも長く触れていたい。
「はぁ・・・、ユナ・・・っ」
ユナも応えるように、俺の背中に手を回す。
俺はユナがここにいることを確かめたくて、手に力が入る。
『痛いよ・・・』とユナが言う。
思ったよりも力が入ってしまったようだ。
「・・・悪い。」と返すと、俺達は見つめ合い、互いに唇を求めた。
先程のように舌を絡ませ、深い口づけを繰り返す。
『ん、・・・はぁ、・・・あ・・リヴァイ・・・っん、』
「・・・はぁ、ユナ・・・」
どれくらいそうしていただろうか。
熱い吐息を漏らしながら、唇がふやけるくらい、何度も何度も唇を貪り合う俺達は、離ればなれになっていた時間を埋めようとしていたのかもしれない。
ユナの幸せを願って、一度は手ばなした。
俺の手の届かない所でユナは憲兵に捕らわれ、更には、病でこの世を去ったと言われた。
何度も後悔した。
なぜ、俺は一番大切なものを手ばなしたのか・・・と。