第16章 探し物
リヴァイside
ハンジと兵舎に向かった俺は、二手に別れることにした。
女子棟の中をハンジが探し、俺は兵舎周辺を探す。
と言っても、人の気配は特になかった。
中庭に差し掛かる所で、誰かの声が聞こえた。
『ない、・・・ない、ない・・・・どうしよう・・・』
俺の心臓がドクンと鳴った。
聞いたことのある声。
忘れることのない声。
いつか俺を呼んだ声。
『・・・あったぁ!・・・良かったぁ・・・』
声のする方を見ると、地面にしゃがむ小さな背中が見えた。
俺の思う、そこにいた人物は紛れもなくユナだった。
顔付きは多少大人っぽくなり、何かを探していた手には、昔、俺が買って贈った首飾りを握りしめていた。
涙を流して、その首飾りを見つめていたユナは、背後の俺に気づき、ゆっくりと振り返る。
その瞳が見開かれ、みるみるうちに涙を浮かべるユナ。
「・・・ユナ、か?」
俺は、忘れられないその名を呼ぶ。
『・・・っ!』
ユナの目からポロポロと涙がこぼれ、ユナは両手で必死に拭う。
『・・・う、うぅ、・・リ、リヴァイ・・・』
ユナが泣きながら俺の名前を呼ぶ。
「・・・ユナ!」
俺はユナに駆け寄り、その小さな体を抱きしめた。
(生きていた・・・生きていたんだ!)
ユナがここにいることを確かめるように、俺は抱きしめる手に力が入る。
『・・・リヴァイ、・・・リヴァイっ・・リヴァイ!』
俺の腕の中では、ユナが泣きじゃくり、俺の名前を何度も呼ぶ。
(あぁ・・・ユナだ)
「・・・ユナ・・・」
俺はユナの体を離し、ユナの顔をのぞきこむ。
涙で濡れた瞳が俺を見つめる。
その涙を指で拭い、ユナのまぶたにキスをする。
そして、今度は唇にキスをした。
久しぶりのユナの柔らかい唇の感触に、俺の中の本能が疼く。
もっと、もっと、もっと、ユナを感じたい。
これまで足りなかった分を、求めずにはいられなかった。
俺は口づけを深くしていき、舌を絡ませる。
ユナは苦しそうに息が上がってきた。
俺はユナから一度唇を離し、また抱きしめた。