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ハリー・ポッターと龍宮の姫巫女

第8章 姫巫女と最初の一週間


「ありがとう、シオン」

 そうハリーが言って、手のひらに乗せた奏枝を差し出す。

「ううん、気にしないで。わたしも、たまたま覚えてただけだから。奏枝もありがとう」

『お安い御用なのです! また、いつでも呼ぶのです!』

 そう言って、少女は姿を消した。

「今の子も、リュウグウに仕えるって言うモンスターなの?」

「可愛いですね。また会いたいです」

 マリアたちが消えた奏枝について話していると、シェリルが口を開く。

「その話、後にした方がいい。早く二人組にならないと、減点されるかも」

 そうだった。
 何でも、『おできの治療薬』を作るのに、二人組になるよう言われていたのだ。

「せっかくだし、同室じゃない人と組みましょうか」

「賛成です、マリアちゃん。同じ部屋だから、みんなとはいつでも話せますから」

「そんなぁ……シオンさまと組もうと思ってたのに!」

「はは……」

 嘆くヒマワリには苦笑しか出ない。
 どうしようか、とその場で周囲を見ていると、ロンが肩を叩いて来た。

「それなら、シオン。僕と組まない?」

「いいの?」

「あぁ。シオンは『魔法薬学』得意みたいだし、一緒に組んでくれると助かる」

「うん! 任せて、ロン」

 思いがけず、すぐにパートナーが見つかった。

「なら、あたし、ハリーと組みたい! ハリー、ダメ?」

 シェリルがハリーの腕を掴む。

「もちろん。ありがとう、シェリル」

 シェリルのパートナーが決まった。

「ウィーズリーったらズルイ! あたくしがシオンさまと組みたかったのに!」

 頬を膨らませて怒るヒマワリへシェーマスが近づく。

「ヒマワリ、良かったら僕と組まない?」

「あなたと? まぁ、別に構いませんわ。シオンさまと組めないなら、誰と組んでも同じですもの」

 大きくため息を吐くヒマワリと、小さくガッツポーズを取るシェーマスの落差に、シオンは言葉も出なかった。
 後から聞いた話だが、シェーマスはヒマワリに片想いをしているらしい。

 その後、マリアはネビルと、シャーロットはディーン・トーマスと組み、図らずもシオンたちは、ハリーと同室のメンバーで二人組を組むこととなった。
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