第8章 姫巫女と最初の一週間
「えっと……今日は何の授業があったっけ?」
「スリザリンと一緒に、『魔法薬学』の合同授業ですわ」
「気をつけた方がいいかもしれないわね。スリザリンの寮監であるスネイプ先生は、自分の寮生を贔屓してるって話よ」
マリアがそう言ったタイミングで、後ろから「おはよう!」と二人分の少年の声が掛かる。
ハリーとロンが、息を切らしてやってきた。
「おはよう、ハリー、ロン」
「今日は早いんですのね」
シオンが二人に挨拶をしたのが気に入らなかったのか、ヒマワリが二人に皮肉を飛ばす。
けれど、ハリーもロンも気にならなかったようだ。
「聞いてよ! 僕ら、今日は一度も道に迷わなかったんだ!」
「それ、自信満々に言うこと?」
「マリアだって、シャーロットがいないと迷っちゃうくせに」
ボソリと言ったシェリルの言葉に、マリアが固まる。
「も、もう迷わないわよ! 少なくとも、こいつらより先に道順覚えられたから!」
指をさされた二人は、上機嫌だからか、それとも聞こえなかったのか。
二人は朝食につく。
「ハリー、気にしないで。あたしも道順なんて全然覚えてないから」
「ありがとう、シェリル」
「あれ、僕にはないの?」
シェリルがハリーを慰めるが、ロンに掛ける言葉はないようだ。