第8章 姫巫女と最初の一週間
そこへ、窓から何百という数のふくろうが入って来た。
テーブルの上を旋回したふくろうたちは、飼い主を見つけると、手紙や小包を膝の上に落とす。
マリアやシャーロット、シェリル、ヒマワリにも手紙が届いたようだ。
シオンにふくろうはいない。
代わりに、父とは《紙鳥》という式でやり取りしている。
鳥の形をした式札に内容を書いて飛ばすのだ。
どんなに遠く離れていても、術者の『認識』と札に書かれた『宛名』から、必ず相手に届く。
案の定、シオンの手元に《紙鳥》が届いた。
開けば、そこにはあまり多くの言葉は並んでおらず。
それでも、シオンを気遣う内容に、無意識に口元が綻んだ。
そこへ、普段は何を届けることなく飼い主の耳を齧っていた、ハリーのふくろう――ヘドウィグが、彼の皿の上に一通の手紙を置いていった。
「僕にも手紙が来た!」
ハリーは嬉しそうに封を破る。
そこには、あまり上手とは言えない字が並んでいた。