第7章 姫巫女とグリフィンドール寮
月映の説明に、マリアとシャーロットが納得したように頷いた。
シェリルは船を漕ぎながら、話半分で聞いている。
「あたくしは、その『継承の儀』で舞われるシオンさまを見ましたわ。あたくしは指一つ動かすことも、瞬きすらできなかった。美しい……そんな言葉では表現できないほどの素晴らしい舞でした。あたくしたちの『祭神』が応えたのも納得ですわ」
「そんなに素晴らしいなら、私も見てみたいです」
「そうね。舞なんて見たことないし、見る機会があるなら逃がしたくないわ」
あまり絶賛されれば、恐縮してしまうのは仕方のないこと。
シオンは肩を小さくして、「大げさだよ」と顔を赤くした。
「大げさなんかじゃないですわ! シオンさまは素晴らしい方です! 学校に行く途中でも、《鬼火》を出して道を照らして下さいましたし、ピーブスを追い払って下さったのも、シオンさまではありませんか! 舞だけでなく、お気遣いも素晴らしいです!」
「道を照らしてた火の玉、シオンちゃんだったんですね。お陰で転ばずに済んで、助かりました」
「ピーブスに襲われそうになったら、シオンに頼りましょうか。アイツ、懲りずにまたやってきそうだし」
言いながら、マリアがパチンッと手を叩く。
「さぁ。自己紹介も終わったし、早く寝ましょう。明日も早いわよ」
彼女の言葉を合図に、シャーロットが半分夢の中にあるシェリルを支えた。
シオンも生まれて初めてのベッドに入り、ふわふわの毛布にくるまる。
目を閉じれば心地よい闇が訪れ、身体の力が自然と抜けたのだった。
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