第6章 姫巫女と入学式
「いったい、どうやって寮を決めるんだろう? 二人とも知ってる?」
「わたしは……父上に聞いてみたんだけど、何も教えてもらえなくて。学校生活とか、授業とか……もちろん、組分けについても……」
「僕は聞いたよ。試験みたいなのじゃないかな。すごく痛いってフレッドが言っててさ。たぶん、冗談だと思うけど」
ロンの回答に、ハリーとシオンは顔を真っ青にした。
試験だなんて聞いていない。
もしそんなものがあるのならば、入学前に死ぬ気で勉強したのに。
他の生徒が不安な表情をする中で、覚えた呪文の詠唱をブツブツ言っているハーマイオニーが羨ましかった。
あぁ、こんなことなら興味のある教科書だけではなく、しっかり全部に目を通しておくのだった。
「「きゃあ――ッ⁉︎」」
「「うわぁ――ッ⁉︎」」
突然後ろから上がった悲鳴に、シオンたちの肩がビクッと跳ねる。
「な、何?」
『曲者か⁉︎』
怯えるシオンの前に、キラキラと輝く身体をしならせ、月映が主を守るように前へ出た。
すると、振り返った視線の先で、壁から透き通った身体を持つゴーストが二十人ほど現れる。
彼らは新入生に気づくことなく、何かしら議論をしながら部屋を漂った。
その中で、ふくよかな体格の小柄な修道士らしき男性のゴーストが口を開く。
『もう許して忘れなされ。彼にもう一度だけチャンスを与えましょうぞ』
『修道士さん。ピーブズには……あいつには、もう充分過ぎるくらいチャンスをやったじゃないか。我々の面汚しですよ。しかも、ご存じのように、奴は本当のゴーストじゃない』
そう答えたのは、襞(ひだ)がある襟のついた服を身に纏った、タイツを履いた男性のゴーストだ。
どうやら、ピーブスという人物について話しているらしい。
すると、襞がある襟のついた服のゴーストが、新入生に気づいた。