第6章 姫巫女と入学式
新入生たちが岩と小石が敷き詰められた地面に降りると、ハグリッドがネビルを呼んだ。
「ほい、お前さん。こいつはお前さんのヒキガエルかい?」
ボートを調べていて見つけたらしく、ヒキガエルが「ゲコッ」と鳴いた。
「トレバー!」
目に涙を溜めて喜ぶネビルが、丸い顔をヒキガエルのトレバーにすり寄せる。
その様子を見て、ハリーがロンに耳打ちした。
「すごいね。シオンの占いが当たったみたい」
「うん。僕も今度占ってもらおうかな?」
その声は聞こえていたが、シオンは何も答えず、ただネビルのヒキガエルが見つかったことに、ホッと胸を撫で下ろした。
下船した一同は、再び暗いゴツゴツとした道を歩かされ、シオンはもう一度《鬼火》たちを呼び、道を照らしてもらう。
やがて辿り着いたのは、巨大な樫の木の扉の前だ。
《鬼火》たちがフッと音もなく消えたのは、シオンが命じたからである。
ハグリッドは振り返り、生徒たちが全員いることを確認すると、大きな拳で扉を三度叩いた。
扉がギ…とゆっくり開くと、中ではエメラルド色のローブを纏った、背の高い魔女が立っている。
黒い髪をきっちりと結い上げて佇む姿には隙がなく、厳格な顔つきをしていた。
「マグゴナガル教授、イッチ年生の皆さんをお連れしました」
「ご苦労さま、ハグリッド。ここからは、わたくしが預かりましょう」
マグゴナガルと呼ばれた女性が扉を開け放ち、玄関ホールへ新入生たちを招き入れる。
玄関ホールは大きく、シオンの邸も相当大きいが、それよりもさらに広かった。
石壁は松明の炎に照らされ、天井はどこまでも高く、大理石の階段が上へと続いている。
マグゴナガルの後を追い、新入生たちは大広間の入口前まで案内された。