第6章 姫巫女と入学式
「青玉、藍玉、蒼玉。道が暗くて上手く歩けないの。照らしてくれる?」
二、三度瞬いた《鬼火》たちは、命令をもらえたことが嬉しかったのか。
シオンの周りをくるくると周った後、険しい小道の端に細かな火を灯した。
まるでランウェイのように道が浮かび上がり、新入生たちが驚きの声を上げる。
「わぁ、すごく綺麗だ!」
「ありがとう、ランギョク」
ロンが近くにいた《鬼火》に礼を言うが……。
「ロン、その子は蒼玉だよ」
前の方で、ハグリッドも驚きと共に賞賛の声を上げている。
ハグリッドを先頭に新入生一同は、その後、誰一人滑ったり、躓いたり、転んだりせずに歩いた。
「みんな、もうすぐホグワーツが見えてくるぞ。この角を曲がったらだ」
「「おーッ!」」
一斉に声が湧き起こった。
狭い道が開けた先に、大きな湖があり、その向こう岸に高い山が聳えている。
そして天辺に、新入生を待ち望むように壮大な城が建っていた。
大小様々な塔が立ち並び、まるで星々のように窓が輝いている。
その美しさに、シオンやハリー、ロンは言葉も出なかった。
湖は夜を映し出し、底のない沼のように真っ黒だ。
畔(ほとり)まで来ると、ハグリッドが岸辺に繋がれたたくさんの小船を指して、四人ずつ乗るように促した。
シオンたちは余ってしまい、三人でボートに乗る。
「みんな、乗ったか?」
一人でボートに乗ったハグリッドが確認し、一つ頷いた。
「よーし。では、進めぇ!」
ボートが一斉に動き出し、静かな湖面を進み出す。
新入生は緊張からか、誰一人口を開くことなく、黙ってホグワーツを見上げていた。
やがて、ボートが蔦のカーテンを潜(くぐ)ると、城の真下と思われる暗いトンネルを通り、船着場に到着する。