第21章 姫巫女と一年の終わり
日々は目まぐるしく過ぎ去り、終業式を終え、シオンたちホグワーツの生徒は、揃って城を後にした。
夏休みという長い休暇をどう過ごすのか、友人たちと楽しくお喋りをすれば、あっという間にキングズ・クロス駅の九と四分の三番線へと列車は入る。
シオンたちは制服から私服へと着替え、列車を降りた。手は大きなカートを引いている。
「ハリー。もし家族に嫌がらせされたら、魔法で脅してやるといい。効果てき面なはずだから」
「ダメだよ、シェリル。学校の外じゃ魔法を使えないだろ?」
困った表情をするハリーに、マリアが「あら」と声を立てて小さく笑う。
「私たちが外で魔法を使えないなんて、マグルは知らないわ」
「ふふ……きっとびっくりするでしょうね」
「今まで散々な目に遭ってきたんですもの。多少の仕返しは罰も当たりませんわ」
シェリルの提案に、どうやらマリアやシャーロット、ヒマワリは賛成のようだ。
「みんな……手紙、いっぱい書くから!」
寂しさを吹き飛ばすように、シオンは声を上げた。すると、みんなが別れを惜しみつつ頷いてくれる。
「みんな、夏休みが明けたら、いっぱい話を聞かせてくれよ」
「えぇ、もちろんよ」
ロンの言葉に、ハーマイオニーは涙ぐみながら返した。
「僕も、みんなに話せるような思い出を作らなくちゃ」
ハリーは少し苦い表情をする。