第21章 姫巫女と一年の終わり
ヴォルデモートと対決した翌日。目を覚ましていたヒマワリはシオンを抱きしめ、マリアたちが戸惑うほど泣いた。
そのときのことは、シオンもヒマワリも口にしない。マリアたちも、何があったのか聞かない。
『友だちだから』聞かない。
知りたいけれど、話したくないのならば話さなくていい。
そんなマリアたちの気遣いに、シオンの胸は熱くなった。
やがて、ゆったりとした足取りで、ホグワーツの校長アルバス・ダンブルドアが入って来た。
ガヤガヤと騒めいていた大広間は一瞬で静まり返る。
「また一年が過ぎた! これから新学年を迎える前に、君たちの頭が綺麗さっぱり空っぽになる夏休みがやって来る」
決して大きな声ではないのに、彼の声は大広間に響いた。
「一同、ご馳走にかぶりつく前に、お待ちかねの寮対抗杯の表彰を行おう」
一位 スリザリン……四七二点
二位 レイブンクロー……四二六点
三位 ハッフルパフ……三五二点
四位 グリフィンドール……二五二点
ダンブルドアの発表に、スリザリンのテーブルから割れるような歓声や手拍子、口笛や足を踏み鳴らす音などが上がった。
マルフォイやクラッブ、ゴイルたちが喜んでいる様を見るのは、気分がよいものではない。
ハリーたちもムッと面白くなさそうに唇を尖らせている。
「よしよし、スリザリン。よくやった。しかし、駆け込みで得点を挙げた者がおるため、ここで発表させてもらう」
スリザリンのテーブルから歓声が止み、笑顔が消えた。
ダンブルドアが大広間を見渡し、「えへん」と咳払いをし、グリフィンドールのテーブルへ視線を向ける。