第21章 姫巫女と一年の終わり
「もしそれが本当だったなら、ヒドイなんてものじゃないわ! 私たち……ううん……ハリーやシオンは、死んでいたかもしれないのよ!」
怒りに拳を震わせるハーマイオニーに、ハリーは静かに首を振って、少女の言葉を否定した。
「そうじゃないよ、ハーマイオニー。ダンブルドアは、僕にチャンスを与えようとしてくれたんだ」
だからこそ、ハリーたちを止めないで、むしろ役に立つよう、必要なことを教えてくれていた。ハリー自身にそのつもりがあるなら、ヴォルデモートと対決する権利がある。
「あの人は、そう考えていたような気がする」
その通りだとシオンも思った。確かに、アルバス・ダンブルドアは変わった人物だ。
けれど、生徒を危険な目に遭わせて放ってくような、そんな薄情ではない。情の深い、優しい老人だ。
「もう十五分も経ちましたよ」
マダム・ポンフリーが急かすように追い立ててくる。
次にシオンたちがハリーと会えたのは、学年度末のパーティーだった。
* * *
学年度末のパーティーは、大広間で行われた。大広間にはグリーンとシルバーの飾りつけが施されている。
どうやら、今年度の寮杯もスリザリンに持って行かれることになるらしい。
やはり、シオンたちが二〇〇点減らしたのは大きかったことだろう。
ハリーがクィディッチで優勝して、寮杯はグリフィンドールが獲るはずだったのに……やはり間に合わなかったようだ。
飾りつけられたスリザリンの旗の、シンボルである蛇と目が合ったような気がして、シオンは逃れるように目の前の料理へと移した。
対面にはハリー、ロン、ハーマイオニーが。シオンの隣には、同室のヒマワリ、マリア、シャーロット、シェリルが座っている。