第20章 姫巫女と大いなる闇
「実はこれがすごいんじゃ。『《賢者の石》を使うために欲する者』が鏡を覗いても、絶対に手に入れることはできん。黄金を作ったり、命の水を飲んだりする姿が見えるだけじゃ。『《賢者の石》を守るために欲する者』だけが、『石』を手に入れることができる。どうじゃ? 名案じゃろう?」
「なるほど……確かに」
マクゴナガルやスネイプたちの罠を全て潜り抜けたとしても、最後のダンブルドアの仕掛けを突破するのは不可能だったというわけか。
感心するシオンに、ダンブルドアは「ふぉっふぉっ」と得意げに自身の髭を撫でた。
「……ダンブルドア先生、もう一つ教えて下さい」
「一つと言わず、聞きたいことがあるのなら、いくらでも聞くといい」
ダンブルドアの優しい声音は、シオンの中の恐れや躊躇いを溶かしていくようだ。
シオンは彼の言葉に甘え、気になっていたことを聞くことにした。
「今回、ヴォルデモートには逃げられてしまいましたが、《賢者の石》以外にも、彼が復活する手段はあるんでしょうか?」
少女の質問に、ダンブルドアは「そうさな」と表情を曇らせる。
「……残念じゃが、手段は他にもある。今回 君たちがやったことは、ヴォルデモートが再び権力を手にする時を遅らせただけかもしれん。今も、クィレル先生のように、乗り移れる身体を探しておることじゃろう。本当に生きているわけではないから、殺すこともできぬしなぁ」