第20章 姫巫女と大いなる闇
次にまた誰かが、一見勝ち目のない戦いをしなくてはならないのかもしれない。
そうやってヴォルデモートの思惑を何度も何度も打ち砕けば……彼は二度と、権力を取り戻すことができなくなるかもしれない。
そんな、永遠にも近い時間を掛けて――……途方もない話だ。
それでも、シオンは強い意志を持って頷いた。
どれほど途方のない話だとしても、必ず阻止してみせる。
きっと、自分一人の力では無理だろう。
けれど、自分は一人ではない。求めれば、助けてくれる人が大勢いる。
何も、恐れるものはない。
どこまでできるか分からないけれど――全部、守ってみせる。
この手の届く限り……この声が届く限り……自分の持ち得る全ての力を使って。
誰にも傷ついてほしくない……誰にも犠牲になってほしくない、死んでほしくない。
この力が、少しでも役に立つなら――……。
そんなシオンの様子を見て、ダンブルドアがシワの刻まれた目元を綻ばせた。
「君はここへ来て随分と見違えたようだ」
「……え?」
聞き返すシオンに、ダンブルドアはしわくちゃの手で少女の頭を優しく撫でる。
「シオン。どうやら君は、ここで大切なものを見つけたようだ」
目を見瞠ったシオンは、言葉の意味を理解し、凛とした表情で「はい」と頷いた。