第20章 姫巫女と大いなる闇
「だ、ダンブルドア先生!」
半月眼鏡を掛けた老人……アルバス・ダンブルドアの登場に、シオンはワタワタと慌てた。
一体、この状況をどう説明すればいいというのか。
しかも、この部屋は隠し扉の奥――生徒が立ち入ってはいけない場所だ。
「あの……えっと……」
「よい。事情は分かっておる。大事はないかの?」
優しい口調で問われ、シオンはこくこくと何度も頷いた。
「ハーマイオニーのふくろうう便が間に合ったんですね」
「いや、ふくろううとは空中ですれ違ってしまったらしい。ロンドンに着いた途端、わしが居るべき場所は出発してきたところだったとはっきり気がついたんじゃ」
「そうですか……」
理由はどうあれ、ダンブルドアが戻ってきたのは幸いだった。
「あ、えっと……ハリーは無事です。クィレル先生も……命に別状はないはずです」
ハリーとクィレルを確認するダンブルドアに、シオンは答える。
「ふむ。クィレル先生はすぐにマダム・ポンフリーに診せた方が良さそうじゃな」
パンパンと彼が手を叩くと、ふくろううが何羽もやって来て、白い布でクィレルを包み、運んでいく。
「それで? シオン、君はどうなんじゃ? ケガはないかね?」
「あ……は、はい……大丈夫、です……」
本当は、打ちつけた背中がズキズキと痛いし、月映の枷を解き放ち、再び枷を施したことで魔力をかなり消耗している。少し気を抜くと倒れてしまいそうだ。
それでも、今ここで自分が倒れてしまうわけにはいかない。
事の顛末を、ダンブルドアに伝えなくては。