第19章 姫巫女と隠し扉の罠
次の扉を開いた先には、テーブルが一つ置いてあるだけで何もない。
「何かしら、この瓶」
テーブルに置かれているのは七つの小瓶と巻き紙。色や形は様々で、一つとして同じものはない。
前の罠がクィレルのものだとすると、これはスネイプの罠だろう。
「どうすればいいんだろう?」
シオンの呟きと同時に、今 通ったばかりの扉は紫の炎に包まれた。さらに、前方の扉も黒い炎が覆う。
「閉じ込められた⁉」
慌てるハリーに、ハーマイオニーが「見て!」と巻き紙を差し出してくる。小瓶の横に置いてあったものだ。
巻き紙には問題文とヒントが記載されていた。
内容からして、七つの小瓶のうち、前方の黒い炎を進むことができる小瓶と、後方の紫の炎を戻る小瓶が混ざっているのは間違いないだろう。
しかし、手当たり次第に開けることはできない。七つの小瓶のうちの三つは毒薬で、二つはイラクサ酒だ。
頭を悩ませるシオンとハリーの隣で、問題文に目を通したハーマイオニーが微笑んでいた。
「分かったわ! 一番小さな小瓶が黒い炎を通り抜け、《賢者の石》の方へ行かせてくれる。一番右端にある丸い瓶は、紫の炎を潜って戻れるようにしてくれるわ」
ハリーが一番小さな小瓶を手に取る。
「二口くらいはありそうだから……頑張って二人分、かな……?」
「二人……」
ハリーが行くのは、おそらく決定事項だろう。もう一人行くとするなら……。
「シオン、あなたがハリーと行って」
「わ、わたしが?」
戸惑うシオンに、ハーマイオニーは頷いた。
「きっと、勉強ができるだけの私よりも、シオンの方がハリーを助けられる。そうでしょ?」
「そ、そんな……ハーマイオニーだって、ここまで何度も助けてくれたよ。ハーマイオニーがいなかったら……」
ハーマイオニーは「ありがとう」とはにかむと、キュッと唇を引き結ぶ。