第19章 姫巫女と隠し扉の罠
「えぇい! 女は度胸!」
まるで呪文のように唱えて、ハーマイオニーが真っ先に飛び降りた。次いで、シオンも飛び降りる。
遠くで犬の唸り声がしたのは、シオンの歌が途切れたからだろうか。驚愕の悲鳴を上げながら、最後にロンが飛び降りた。
滞空時間は長いようで短かった。薄暗い闇の中で、自分の身体を柔らかいものが包み込んだ。
「はぁ……助かった。でも、これ何だろう?」
「分かんない。何かの植物らしい。落ちるショックを和らげるためにあるみたいだ」
首を傾げるシオンにハリーがそう言うと、ロンが明るい声を上げた。
「この植物のお陰で、本当にラッキーだったな!」
すると、ハーマイオニーが「ラッキーですって⁉」と悲鳴のように叫んだ。
「あなたたち、自分を見てごらんなさいよ!」
まるで、それを合図にしたように、植物の蔓が身体に巻きついてきた。首に、腕に、足に、太い蔓が強く絡みついてくる。
「ハーマイオニー、これって……」
「えぇ、シオン。間違いないわ。これは……」
「「《悪魔の罠》‼」」
シオンとハーマイオニーの声が揃う。
暗闇と湿気を好む植物だ。もがけばもがくほど、蔓は強く絡みついてくる。