第19章 姫巫女と隠し扉の罠
「シオンの歌は効果覿面(てきめん)だな。シオン、そのまま歌い続けて」
コクリと頷くことで了承を示すと、三人はマントから抜け出す。
シオンは歌い続けながら、仕掛け扉に近づく三人の後を追うよう、雲河に指示を出した。同時に、ハリーが扉を開いた。
「真っ暗だ、何も見えない。階段とか梯子もないし、落ちていくしかないみたいだ」
「大丈夫なの? どこまで続いてるか分からないし……もし下が床とか地面だったら死んじゃうわ」
今にも先陣を切って降りようとするハリーを、ハーマイオニーは必死で宥める。
そんな二人の様子に、シオンは歌を続けた状態で雲河から降りた。ハリーの背を叩き、雲河に乗るようジェスチャーして見せる。
「そうか。この布のモンスターに乗れば安全だ。ありがとう、シオン」
やがて、どこかぎこちない様子でハリーは《一反木綿》の背に乗った。
「もし僕の身に何か起きたらついて来ちゃダメだよ。まっすぐふくろう小屋に行って、ダンブルドア宛てにふくろう便を送るんだ。いいね?」
念を押して、ハリーは深い深い穴へと飛んで行った。結構深いのか、いつまで経っても何も聞こえない。
不安になったロンが穴へ向けて口を開こうとすると、「オーケーだよ!」というハリーの声が聞こえて、三人はホッと安堵の息を吐いた。
「でも、どうやって降りるんだい?」
そう呟いたロンの言葉が聞こえたのかは分からないが、張り上げたハリーの声が届く。
「下は柔らかいよ! 飛び降りても平気だ!」
この下に何があるのか分からないが、落下の衝撃を和らげるものがあるらしい。