第19章 姫巫女と隠し扉の罠
「嫌な予感というのは、得てして当たるものですわね。昼間から様子がおかしいと思っていましたが……」
「君たち、また抜け出すつもりなんだね?」
二人の追及に、四人は上手い言い訳も見つけられずに黙り込む。
「行かせないよ。また見つかったら、グリフィンドールはまた減点されちゃう。僕……戦うぞ。マリアが言ってくれた。僕は勇敢だって……グリフィンドールの生徒だって! 僕は……僕は戦うぞ……!」
ネビルは前回の減点に責任を感じているらしい。
これ以上、グリフィンドールの点を減らさせはしないと、シオンたちの前に立ち塞がった。
「ネビル。君には分からないかもしれないけど、これはとても重要なことなんだ」
「そして、とても危険なことなのでしょう?」
ハリーの言葉に被せるようにしてヒマワリが言う。
「あたくしは、グリフィンドールの点数にはさらさら興味はありませんけれど……」
ちらり、とヒマワリの黒い瞳がシオンを捉える。
「シオンさま……どうしても、ハリーたちと行きますの?」
「……うん」
頷くのを躊躇ったのは、ヒマワリの視線に責めるような色を見つけたからだ。
「……でしたら、あたくしもネビルと共にあなたたちを止めます。シオンさまの意に反することはあまり気が進みませんが……でも、あなたが危険な目に遇うよりはずっといいですもの」
「ヒマワリ……」
戦うなんてできない。二人を攻撃するなんてできない。
どうにかして分かって貰わないと……事情を話せば、分かってくれる……?
いや、それはできない。これから向かうのは、ヒマワリの言う通り危険なところだ。
完全に頭に血が昇ってしまっているネビルの説得は難しいかもしれないが、ヒマワリならば絶対に「ついて来る」と言うだろう。
そんなことはさせられない。
戦うと言う宣言通り、ネビルが拳を握り込み、ファインディングポーズをとる。どうやら、力づくで止めるというようだ。