第19章 姫巫女と隠し扉の罠
「僕は今夜ここを抜け出す。『石』を何とか先に手に入れる。もしスネイプが『石』を手に入れたら、ヴォルデモートが戻ってくるんだ! そうなったら、ホグワーツそのものがなくなってしまう! 今晩、僕は仕掛け扉を開ける!」
きっぱりと言い切ったハリーに、シオンも心を決めた。
「わたしも行くよ、ハリー。どれだけ力になれるか分からないけど……何もしないで待ってるなんてできないから」
『シオンが行くなら、「我ら」も共に行こう。誰一人として異存はない。「我ら」の心は、常に姫巫女と共にある』
金色の身体をしならせる月映に、シオンは小さく「ありがとうございます」と微笑んだ。
「透明マントを使うんだろ? 全員入れるかな?」
「あら、大丈夫よ。シオンの"マリュシュテン"とか言う魔法を使えば、仮にはみ出しててもオーケーだわ」
「《摩利支天》の隠形法だね。任せて」
ロンとハーマイオニーが透明マントに隠れる算段をしていると、ハリーが「ちょっと待って!」と割って入る。
「全員って……君たちも行くつもりかい?」
「バカ言うなよ。キミだけ行かせると思うのかい?」
尋ねるハリーに、ロンはさも当然のように頷く。
「もちろん、そんなことできないわ」
ハーマイオニーはすぐにでも図書館に行って本を調べると言い出した。何か役に立つ知識を仕入れることができるかもしれないと。
見つかれば即退校処分。それを四人はしっかり理解していた。
それでも、分かっていても……ここで引くことはできない。
シオンたちは互いに目配せをし、「よし」と気合を入れた。
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