第19章 姫巫女と隠し扉の罠
「そんなに珍しいこっちゃないさ。『ホッグズ・ヘッド』なんてとこにゃ――村のパブだがな――おかしなヤツがウヨウヨしてる。もしかしたら、ドラゴンの売人だったかもしれん。そうじゃろ? 顔も見えんかったよ。フードをすっぽり被ったままだったからな」
手掛かりなしという結果に、ハリーはがっくりと肩を落としてしまう。
「ハグリッド、その人とどんな話をしたの? ホグワーツのこととか、何か話た?」
代わりにシオンが尋ねると、ハグリッドは顎髭を触りながら口を開いた。
「話したかもしれん。うん……オレが何をしているのか聞いてきたから、森番をしとるって答えたな」
ハグリッドの話によると、それから「どんな動物を飼っているのか」と聞いてきて、「本当はドラゴンがずっと欲しかった」という話をしたらしい。
ただ、次々と酒を奢ってきたらしく、記憶が曖昧なのだそうだ。
「そうさなぁ……それから、ドラゴンの卵を持ってるけど、トランプで卵を賭けてもいいって言ってきたんだ……でも、ちゃんと飼えなきゃダメだって、どこにでもくれてやるわけにはいかな言ってな……だから、言ってやったよ。『フラッフィーに比べりゃ、ドラゴンなんか楽なもんだ』って……」
「フラッフィーのこと、話しちゃったの……?」
思わず聞き返したシオンに、ハグリッドは「おぅ」と返事をする。
「そ、それで……その人はフラッフィーに興味があるみたいだった?」
努めて落ち着いた声音で尋ねるハリーだったが、その声は微かに震えていた。
しかし、ハグリッドはそんなハリーの様子の変化には気づかず、「そりゃあそうだ」とどこか誇らしげに返した。