第19章 姫巫女と隠し扉の罠
――SIDE・ANOTHER
「また何か企んでいるわね」
「企んでるって言い方は、言葉が悪いと思いますよ、マリアちゃん」
「不審な行動……気になる」
ぼそりと呟くシェリルに、マリアは「放っておきましょう」とため息を吐いた。
「あたしたちまでいちいち動いていたら、余計に引っ掻き回してしまうことにもなりかねないもの。手が必要なら言ってくるでしょ」
「そうですね。ハリーくんやロンくんは突っ走ってしまう傾向にありますが、その分、シオンちゃんやハーマイオニーちゃんがブレーキ役になってくれますし」
朗らかに、シャーロットが微笑む。
「心配……ハリーの傷、ただ事じゃない気がする」
「シオンがいれば問題ないわ」
そう、とシェリルは頷いた。
そんな三人の中で、シオンたちが走り去った方向を、ヒマワリは気遣わしげにずっと見つめていた。
* * *