第19章 姫巫女と隠し扉の罠
「何でもないよ。大丈夫。シェリルの考えすぎだよ」
「そう……なら、いい」
二人の様子を見ながら、シオンはこっそり詰めていた息を吐き出した。
そろそろ、彼女たちに隠しておくのは限界かもしれない。
きっとシェリルも、マリアも、シャーロットも……そしてヒマワリも、薄々異変を感じ取っている。
ただ、それを口にしないだけ。打ち明けるのを待っているのか、見守ってくれているのかは分からないが。
それでも……巻き込みたくない。
シオンは最初から首を突っ込んでしまっているが、彼女たちはそうではないのだ。
解決できるのであれば、早々に解決してしまいたい。
前に、ハーマイオニーが言っていた通り、ダンブルドアがいる限り、《賢者の石》は心配ないだろう。
ケルベロスのフラッフィーもいる。地獄の番犬の異名は伊達ではない。
最初のあの関門はそう易々と突破はできないはず。唯一音楽が弱点だが――……。
そこまで考えて、シオンはハッとなった。
フラッフィーの弱点は音楽。
トロール襲撃の後にも突破した傾向が見られなかった以上、犯人はフラッフィーの弱点を知らない。
ならば、フラッフィーの弱点を知っているのは、シオンたちとフラッフィーの主人であるハグリッドだけだろう。
ハグリッドならば、ダンブルドアを裏切ることはない、はず――……。