第18章 姫巫女と禁じられた森
「組を変えよう。すぐにパニックを起こす人間を二人も抱えちゃ、シオンが可哀相だ」
申し訳なさそうに大きな身体を小さくするネビルに対し、マルフォイは小さく舌打ちをした。
こうして、シオンはハリー、マルフォイと共に、ファングを連れて行くこととなった。ハグリッドはハーマイオニー、ネビルと一緒だ。
ハグリッドたちと別れ、シオンたちは森の奥へと進む。《鬼火》たちのお陰で、暗闇に不安は全くない。
どれほど歩いただろうか。木々が生い茂るこの道に果てはあるのだろうか。そんなことを考え始めた頃――再び暗闇で銀色の光が輝いていた。
「見て、シオン」
「うん……」
木の根元に大量の光が集まっているのは、傷ついたユニコーンが痛みに苦しみ、のたうち回ったからだろう。
「おい」
銀色の光を追った先を、マルフォイが指し示す。その地面に、純白に輝くものがあった。
「あれが……一角獣(ユニコーン)……」
なんて綺麗なのだろう。
美しく、切なく……そして、なんて悲しいのだろう。
長くしなやかな脚は投げ出され、真珠色に輝く鬣(たてがみ)には落ち葉が広がっている。
一歩を踏み出した瞬間――ズルズルと滑るような音が聞こえ、次いで地面が揺れた。
暗がりから現れたのは、フードを被った何者かだ。顔は見えないが、体格から男ではないだろうかとシオンは推測する。
這うように現れたその者に、シオンたちは一歩も動けなくなった。恐怖に凍りついて、指一つ動かせない。