第18章 姫巫女と禁じられた森
「ユニコーンの血……じゃあ、この先に……」
バクバクと心臓が鳴っている。
もしかしたら、ユニコーンを襲った犯人も近くにいるのではないだろうか。そう思うとどうしようもなくて、シオンは紫扇とサカキの杖を強く握りしめた。
――ガサガサッ!
蹄(ひづめ)が地面を蹴る音と同時に茂みが大きな音を立てる。
「「ぎゃあぁぁぁあぁぁぁ――――――ッ‼」」
マルフォイとネビルが、禁じられた森に響き渡るほどの大きな悲鳴を上げ、ハグリッドから教えられた光を杖から飛ばした。
赤い色――身の危険を感じたときに飛ばす色の光だ。
「リュウグウ! どうにかしろ!」
「ど、どうにかって――……」
目に見えない相手にどう戦えというのか。
背中に隠れるマルフォイとネビルに押し出されながら、シオンはグルグルと様々な最悪の予感を前に、ただ固唾を呑み込んだ。
《鬼火》たちはシオンを守ろうと火力を上げて青々と輝く。
すると――……。
「人の子、肩の力を抜きなさい。害を与えるようなことはしません」
「けん、たうるす……?」
茂みから現れたのは、赤い髪と髭(ひげ)を持つ人間――しかし、下半身は赤みを帯びた栗毛の馬。西洋に住む半人半馬の妖怪だ。
「シオン! ドラコ、ネビル! 無事か!」
「ハグリッド!」
石弓を構えるハグリッドの登場で、シオンはホッと肩の力を抜いた。後ろにはハリーとハーマイオニーの姿もある。