第18章 姫巫女と禁じられた森
夜の十一時。
ロンやヒマワリたちに見送られ、シオンとハリー、ハーマイオニー、ネビルの四人は玄関ホールへと向かった。
正直、減点のことで頭がいっぱいで、処罰のことはすっかり忘れてしまっていた。
玄関ホールにはフィルチとマルフォイがすでに来ていた。
そういえば昨日、シオンたちより先にマルフォイが捕まっていたのだった。
マクゴナガルの口ぶりでは、同じように五〇点引かれているようだった。
せっかくなら、寮も違うし、マルフォイには別の処罰を与えてくれないだろうか。
罰則のレパートリーなどたくさんあるだろうし、わざわざ同じにしなくてもいいはずだ……などと言えるはずもなく。
「ついて来い」とランプを持って外へ出たフィルチについて行くしかない。
真っ暗な夜闇の中は、ランプの灯り一つでは足りないような気がした。
「規則を破る前に、よーく考えるようになったろうねぇ。どうかね?」
ギョロリとした意地の悪い目が、シオンたちを振り返る。
「あぁ、そうだとも……私に言わせりゃ、しごいて、痛い目を見せるのが一番楽だよ――昔のような体罰がなくなって、全く残念だ……手首をくくって天井から数日吊るしたもんだ」
フィルチの話に、シオンはネビルと一緒に小さく悲鳴を上げた。
薄気味悪く肩を震わせて楽しそうに笑うフィルチが恐ろしくて、シオンはハーマイオニーと身を寄せ合って歩いた。
「逃げようなんて考えるんじゃないぞ。そんなことしたら、もっと酷いことになるからねぇ」
真っ暗な校庭を横切る。
ネビルは涙を堪えられず、ずっとメソメソと泣いていて、ハリーが引っ張って歩いていた。
いったい何をさせられるのか、どんな罰を受けることになるのか、全く見当がつかない。
それでも、きっと恐ろしい何かが待っているに違いない。
考え出すと止まらず、シオンはローブの中にあるサカキの杖と紫扇を確かめた。
雲が晴れて、月明かりがシオンたちを照らす。
先を進んで行くと、やがてハグリッドの小屋の明かりが見え、遠くから大きな声が響いた。