第18章 姫巫女と禁じられた森
「ハリー、そんなに慌ててどうしたの?」
怪訝な表情で問いかけるハーマイオニーに、ハリーは息を整え、三人を引き連れて寮へ入った。
そして、談話室の端っこの席へ誘導し、声を潜める。
ハリーによると、クィレルがとうとう、スネイプに『闇の魔術に対する防衛術』を突破する方法を教えたということだった。
「そんな! このままじゃ、スネイプに『賢者の石』を取られちゃうよ!」
「でも、まだフラッフィーがいるわ」
悲鳴を上げるロンに、ハーマイオニーが努めて冷静に言う。
そんな彼らの会話を、シオンは黙って聞いていた。
これ以上勝手に動いては、またグリフィンドールに迷惑をかけてしまうかもしれない。
「フラッフィーを突破する方法だって、もう見つけてるかも。図書館には、何千冊も本があるんだ。どっかに書いてあるさ。どうする、ハリー?」
ロンの瞳には、冒険心が戻っている。
けれど、ハーマイオニーはそうではないようで、ロンの肩を掴んで止めた。
「何言ってるの? どうするもこうするもないわ。ダンブルドアのところへ行くのよ。ずーっと前からそうしなくちゃいけなかったのよ。自分たちだけで何とかしようとしたら、今度こそ退学になるわよ」
ハーマイオニーの言うことも分かるが、何一つとして証拠はない。
それに、スネイプが犯人だということに、シオンはまだ懐疑的だった。
しかし、彼が犯人にしろそうでないにしろ、すっとぼけられたらそこまでだ。
少なくとも、子どもの戯言と相手にされないのがオチである。