第18章 姫巫女と禁じられた森
「ハリー、おはよう」
「……シェリル」
大広間を訪れると、シェリルが真っ先にハリーへ駆け寄った。
傍にはロンやハーマイオニーの姿もある。
「話、聞いてるよね?」
「うん。今朝、シオンから聞いた」
ハリーの緑色の瞳がシオンへ向けられる。
「話さなきゃって思って。『ハグリッドの件』は全部話したの」
「ハグリッドの件? そう。ハグリッドの件は話したのね」
シオンの含んだ言い方に気づいたらしく、ハーマイオニーが頷いた。
暗に、『賢者の石』の件は話していないと伝えたかったのだが。きちんと受け取ってくれたようだ。
『賢者の石』の件は事態の規模が大きすぎるし、ハリーも下手をすれば殺されてしまっていたくらいだ。
簡単に話すことはできない。
「ごめんね、シェリル。僕たちのせいで、寮杯を取れなくなっちゃって。あまり、僕たちに関わらない方がいいよ。シェリルたちまで悪く言われちゃう」
「イヤ」
たった二文字で、シェリルはハリーの言葉を拒否した。
「何言ってんのよ。あなたたちと関わることを気にするなら、最初からシオンと一緒に下りてきたりしないわ」
「はい。あんまり気にし過ぎちゃダメですよ。気が滅入ってしまいますから。ね、ヒマワリちゃん」
「あたくしとしては、今回のことをしっかり反省して、次に繋げて頂かないと困りますわ。今後一切、シオンさまを巻き込まないで下さい」
「ヒマワリ! わたしとハリーたちは同罪なんだから! そういう言い方はやめて!」
俯いてしまうハリーとハーマイオニーに、シオンは居た堪れない気持ちになる。
「まぁ、数週間もすれば、みんな忘れるよ。フレッドやジョージなんか、ここに入寮してから、ずっと点を引かれっぱなしさ。それでも、みんなに好かれてるよ」
「だけど、一度に二〇〇点も引かれたりはしなかったろう?」
「それは……まぁ、それはそうだけど……」
どうにか慰めようとするロンだったが、逆効果になってしまった。