第18章 姫巫女と禁じられた森
「シオンさま、今度のことで分かったでしょう? シオンさまは巻き込まれた被害者ですわ。減点されて、これから誹謗中傷の的になってしまいます。二度とこんなことが起こらないよう、ハリーたちとは距離を置くべきです!」
「ま、待って、ヒマワリ! ハリーたちが悪いわけじゃないよ! 協力したのはわたしの意思だし……ハリーたちを責めるならわたしも……」
けれど、ヒマワリは「いいえ」と首を振った。
「シオンさまは悪くありませんわ。シオンさまを誘ったハリーたちに非があるのです。シオンさまが断れないと知りつつ、ハリーたちは声をかけたのですもの」
「それは暴論だと思うわよ、ヒマワリ」
「次はあたしも誘ってほしい」
マリアとシェリルの反応に、ヒマワリは唇を尖らせる。
「ですけど!」
「ハリーくんたちとは、今後も仲良くしましょう。みんなで仲良く。それが一番です」
にこにこと微笑むシャーロットに、ヒマワリが「でもでも」と駄々っ子のように繰り返した。
変わらずにいてくれる友人たち。
なんと、自分は恵まれたのだろう。
もう二度と、少女たちの信頼を失いたくない。
軽はずみな行動をとってしまった自分を戒め、シオンはギュッと拳を握りしめた。
* * *
大広間へ行くと、案の定、寮の得点を記録している大きな砂時計の前には、たくさんの人が集まっていた。
どうして、昨日より二〇〇も点を引かれているのか。
きっと、何かの間違いだと皆が思っていることだろう。
さらに、すでに噂も広がっていた。
あの有名なハリー・ポッターが、何人かのバカな一年生と一緒に、寮の点をこんなに減らしたらしい。
クィディッチの試合でヒーローになったこともあり、学校で最も人気と賞賛を集めていたハリーは、一夜にして一番の嫌われ者になってしまっていた。
スリザリンから寮杯が奪われることを期待していたレイブンクローやハッフルパフも敵に回り、誰もが声を抑えることなく悪口を言ってくる。
たくさんの人から期待されていた分、ハリーへの風当たりは特に強く、スリザリンからは皮肉を込めて「借りができた」と礼を言われることすらあった。