第18章 姫巫女と禁じられた森
「本当にごめんなさい! 二〇〇点も点数を引かれて――わたし、どう謝っていいのか分からないけど……謝ることしかできなくて……本当にごめんなさい!」
謝ることしかできない。
ただ、謝ることしかできない自分が情けなかった。
目頭が熱くなる。涙が出そうになるのを、シオンは必死で堪えた。
泣いては駄目だ。自分には涙を流す資格などないのだから。
「シオンさま、顔を上げて?」
そっと、ヒマワリがシオンの肩に触れる。
「こそこそ何をやってるのかと思ったら、そういうことだったのね」
「納得がいきました。シオンちゃんは、私たちを巻き込まないようにしてくれていたんですね」
「確かに。話を聞いてたら、あたしたちもついて行ってた」
呆れたように言うマリアに、シャーロットは小さく笑い、シェリルもコクコクと頷いた。
「え……怒ってる、よね?」
「怒る? まぁ、呆れてはいるけど。まさか、塔を下りるときに魔法を掛け忘れるなんて、詰めが甘いのよ」
ハリーの透明マントについては話していない。
隠しているわけではなく、ハリーの了承を得ずに話すのは憚られたからだ。
「他のグリフィンドールの人たちは、きっと怒ると思う。でも、あたしたちはそんなことで怒ったりしない。シオンのこと、よく知ってるから。考えなしにこういうことしないって」
シェリルの凪いだ水色の瞳にはすでに眠気はなく、真っ直ぐにシオンを見据える。
「シオンちゃん、よく頑張りましたね」
いい子いい子、優しく頭を撫でてくれるシャーロットに、シオンは今度こそ、涙を堪えることはできなかった。
そこへ――。
「あたくしは怒っていますわ。もちろん、シオンさまにではなく、シオンさまを巻き込んだハリーたちにです」
黒いウェーブのかかった髪を払い、髪と同じ色の瞳を吊り上げ、ヒマワリは眉間にシワを寄せる。