第18章 姫巫女と禁じられた森
「さぁ、皆さんベッドに戻りなさい。グリフィンドールの寮生をこんなに恥ずかしく思ったことはありません」
二〇〇点――一夜にして、グリフィンドールは最下位に転落した。もう、寮杯を得るチャンスはない。
どれだけポイントを稼いでも、一位に返り咲くのは不可能だろう。
頭がぐるぐるとする。
どう償えばいいのだろう。
今日のこの瞬間まで、グリフィンドール生が積み重ねてきた努力を……誰もが手に入ると信じて疑わなかった寮杯を……自分たちは全て、台無しにしてしまった。
身体が震える。固く握りしめた指先が冷たくなる。
それから、シオンはどう自分の部屋に戻ったか分からなかった。
* * *
自分のベッドに座って、寝静まったヒマワリたちを見る。
どう説明すればいいのか分からない。
耳の奥で、彼女たちの責める言葉が響く。
これほど、夜明けが来なければいいと思ったことはなかった。
ベッドで膝を抱えるシオンの前に、金色の軌跡が現われ、実体を持つ。
『シオン……』
「どうしよう……わたし……とんでもないことを……っ!」
堰を切ったように溢れる涙を止めることもできず、シオンはグスグスと肩を震わせながらも、嗚咽を殺した。
『気を鎮めよ。嘆いても始まらない。赦されぬ罪は、どれほど言葉を尽くしても赦されぬ』
「月映さま……わたしはどうしたら……」
シオンの言葉に、月映は静かに首を振る。
『できることなどない。ただ、己の誠意を見せ、赦される時を待て。だが……』
きっと、お前の友は分かってくれるだろう。
月映はシオンに眠るよう促す。
落ち着いた月映の声に、シオンの心にも僅かばかりの平穏が戻った。
朝が来るのが恐ろしい。
それでも自分は、ただ言葉を尽くすしかないのだ。
* * *