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ハリー・ポッターと龍宮の姫巫女

第17章 姫巫女とドラゴン


 三人は周囲に気を配りながら、こっそり寮を抜け出し、ハグリッドの小屋へ急いだ。
 涙ながらにノーバートに別れを告げるハグリッドには胸が痛んだが、どうにもできないことである。

 ボアハウンド犬のファングの尻尾やハグリッドの足には包帯が巻かれていた。
 おそらく、ノーバートにやられたのだろう。
 窓にもひびが入っている。
 やはり、人間がドラゴンを飼うというのは、かなり難しいのだ。

 ハリーが、ノーバートの入れられた大きな木箱に透明マントを被せ、ハリーとハーマイオニーがその下に隠れる。

「シオン、どう?」

「うん、大丈――あ、ちょっと待って。歩くと時々足が見えちゃう」

 あの狡猾なフィルチならば、目敏く見つけて追いかけてくるかもしれない。

「シオンについてきてもらって正解ね。シオン、頼むわよ」

「任せて」

 シオンは《一反木綿》の雲河を呼び出し、その背中に乗って、神経を集中させた。


「《オン・アニチ・マリシエイ・ソワカ……オン・アニチ・マリシエイ・ソワカ……》」


 右手で左手の拳を包むようにして印を組み、七度同じ真言を繰り返す。
 そして、「《オン・アビテヤ・マリシ・ソワカ》」と『隠形印』へ組み変えた。
 陽炎が立ち昇ったように自分たちを包み込めば、術が完成した合図だ。

「ハリー、ハーマイオニー、完成だよ」

「よし、急ごう」

 ハリーの言葉に頷き、三人は一番高い塔へ急ぐ。

 入口のホールから大理石の階段を上がり、暗い廊下を走った。
 刻一刻と迫る時間に追い立てられるようにして、それでも、周囲への警戒は忘れないようにしつつ。

 階段で息を切らす二人とノーバートの入った木箱の運搬を交代したときには、もっと早く気がつけば良かったと後悔した。
 木箱を抱えたまま階段を登る負担の大きさを考えなかった。
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