第17章 姫巫女とドラゴン
「どうしたんですの?」
「四人でこそこそするなんて、ちょっと感じ悪いわよ」
「え……っと、ごめん……あの……」
「ハグリッドから招待を受けたのよ。ちょっと急ぎの用事があるみたいで……」
マリアの言葉に上手く返せないシオンを見て、ハーマイオニーが助け船を出してくれる。
「ちょっと、シオンを借りるわね。行きましょう、シオン」
「あ、うん……ごめんね、みんな」
「シオンさま」
ハーマイオニーに引っ張られ、シオンは広間を出て、手近な階段の傍まで来た。
「なぁ、一時限目って薬草学の授業だっけ? サボってハグリッドのところに行こうよ」
「ダメよ!」
ロンの提案を、ハーマイオニーがすぐさま棄却する。しかし、ロンも「だって」と食い下がった。
「ドラゴンの卵が孵るところなんて、一生に何度も見られると思うかい? シオンだって興味あるだろ?」
「それは……まぁ……」
気にならないはずがない。
ロンは「一生に何度も」と言ったが、一生に一度だってお目にかかれるか分からないのだ。
こんなチャンス、きっともう二度と巡ってはこないだろう。
「でも、授業をサボっていい理由にはならないわ。サボったら、また面倒なことに――……」
「黙って!」
ハリーが小声で、けれど鋭く注意を促してきた。
ハリーの緑色の視線を追うと、ほんの数メートル先に、マルフォイの金色の髪が過った。
「き、聞かれちゃった……?」
迂闊だった。こんなところでしていい話ではない。
ドラゴンを飼うのは違法。バレれば、ハグリッドは犯罪者だ。
もっと気をつけなければ。