第17章 姫巫女とドラゴン
どうにか、ハグリッドにドラゴンを諦めてもらうことはできないだろうか。
そんなことを考えなら、シオンは朝食の席についていた。
「お疲れですの、シオンさま?」
心配そうな表情でヒマワリが顔を覗き込んでくる。大丈夫だと笑って見せたが、上手く笑えていなかったのだろうか。彼女は余計に眉を下げた。
「まぁ、ハーマイオニーが試験対策のために作ってくれた予定表見たら、そうもなっちゃうわよ。ね、シャーロット」
「そうですね、確かに大変ですが……ハリーくんやロンくんの分だけじゃなく、私たちの分まで作るのは、もっと大変だったと思いますよ。それを考えると、頑張ろうって思えます」
「そうね。あなたはそういう人間だったわ。シェリル、ほら起きなさい」
「ぐぅ……勉強はしたくない」
夢の中でまで試験勉強に追われているのだろうか。シェリルは眉間にシワを寄せて魘されている。
「あのマイペースなシェリルが魘されるなんて、よっぽど辛いんだね」
シオンがシェリルの柔らかな金色の髪を撫でていると、マリアが呆れたように嘆息した。
「普段からコツコツ復習してれば、こんなことにはならないのよ」
「そういうマリアだって、ハーマイオニーの予定表に頭を抱えてるじゃありませんの」
「そ、そんなことないわよ!」
ガタンッとテーブルを叩いて顔を赤くするマリアに、シャーロットが小さく笑う。
「でも、予定表を蔑ろにするつもりがないのは、マリアちゃんのいいところだと思います」
そこへ、バタバタと三人分の足音が近づいてきた。
「シオン!」
「ハリー! ロンとハーマイオニーも。どうしたの? そんなに慌てて」
立ち上がって彼らを迎えると、ハリーはシオンに顔を寄せ、ヒマワリたちを気にしながら、彼女たちに聞こえないように耳打ちする。
「ハグリッドから手紙が来たんだ。卵が孵りそうなんだって!」
「え⁉」
思わず声を上げてしまい、シオンは慌てて口を押さえた。