• テキストサイズ

ハリー・ポッターと龍宮の姫巫女

第17章 姫巫女とドラゴン


「ハグリッド、窓を開けてもいい? 茹立(ゆだ)っちゃうよ」

「悪いな。それはできん」

 そう言って、ハグリッドはチラリと暖炉へ視線を向けたことに気づいた。

「ハグリッド――あれ……ドラゴンの卵だよね? どうしたの?」

 そう尋ねながらも、シオンにはおおよその見当がついている。ゴウゴウと燃える炎の中、やかんの下には黒く大きな卵があった。

「えーと、それは……その……」

 気まずそうに、ハグリッドは言葉を濁しながら、もじゃもじゃのヒゲをいじる。

「ハグリッド、どこで手に入れたの? すごく高かったろう?」

 ロンは立ち上がり、暖炉の傍に屈みこんで卵を覗き込んだ。

「賭けにかったんだ。昨日の晩、村まで言って、ちょっと酒を飲んで、知らない奴とトランプをしてな。はっきり言えば、そいつは厄介払いして喜んでおったな」

「だけど、もし卵が孵ったらどうするつもりなの?」

「それで、ちぃっと読んどるんだがな」

 ハグリッドが枕の下から大きな本を取り出した。
「図書館から借りたんだ――『趣味と実益を兼ねたドラゴンの育て方』――もちろん、ちぃっと古いが、何でも書いてある」

 母龍が息を吹きかけるように卵は火の中に置け。
 孵ったときには、ブランデーと鶏の血を混ぜ、三十分ごとにバケツ一杯飲ませろ。

「それと、ここを見てみろや――卵の見分け方――俺のはノルウェー・リッジバックという種類らしい。こいつが珍しい奴でなぁ」

 嬉しそうに語るが、ドラゴンを飼うのは違法だ。それに、生まれたときこそ小さいが――……。

「ハグリッド、この家は木の家なのよ」

 ハーマイオニーが呆れたように言うが、ハグリッドの耳には届いていないようだった。

* * *

/ 362ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp