第17章 姫巫女とドラゴン
「まぁ、それくらいなら言っても構わんじゃろう……さてと……俺からフラッフィーを借りて……何人かの先生が魔法の罠をかけて……スプラウト先生……フリットウィック先生……マクゴナガル先生……」
一人一人名前を挙げながら、彼は太い指を折り曲げていく。
「それからクィレル先生、もちろんダンブルドア先生もちょっと細工したし……待てよ、誰か忘れておるな。そうそう、スネイプ先生」
「スネイプ先生?」
シオンが聞き返すと、ハリーとロンは「スネイプだって?」と声を揃えた。
「あぁ、そうだ。まだあのことにこだわっておるのか? スネイプは石を守る方の手助けをしたんだ。盗もうとするはずがない」
ハグリッドの話を聞いた三人がどんなことを考えているのか、シオンには手に取るように分かった。
もしスネイプが石を守る側にいたなら、他の教師たちがどんなやり方で守ろうとしたのか、簡単に分かるはず。
おそらく、クィレルの呪文とフラッフィーの眠らせ方以外は。
「ねぇ、ハグリッド。ケルベロス――フラッフィーは、ハグリッドだけが大人しくさせることができるんだよね? それって、他に知ってる人っている? 誰かに教えたとか」
シオンの問いに、ハグリッドはゆるゆると首を振った。
「俺とダンブルドア先生以外は、誰一人として知らん」
「それなら一安心だ」
ハリーがホッと安心した笑顔をシオンたちに見せる。
フラッフィーが目を光らせているならば、《賢者の石》は安心だ。
音楽さえ聴かせなければ、フラッフィーは最強である。