第17章 姫巫女とドラゴン
ハグリッドの小屋を訪ねると、全てのカーテンが閉められていた。
その上、外の気温もそれなりに高いというのに、暖炉はごうごうと火が燃えており、室内が異様に暑くなっている。
四人を迎え入れたハグリッドは、再び固くドアを閉めた。
ハグリッドはお茶を淹れ、鼬(いたち)の肉を挟んだサンドイッチでもてなしてくれるが、熱気のせいでとても食べようと思えない。
「それで、お前さん。何かを聞きたいんだったな?」
「うん。フラッフィー以外に『賢者の石』を守っているのは何か、ハグリッドに教えてもらえたらなと思って」
ハリーのストレートな問いかけに、ハグリッドは顔を顰める。
「もちろん、そんなことはできん。まず第一、俺自身が知らん。第二に、お前さんたちはもう知りすぎとる。だから、俺が知ってたとしても言わん」
《賢者の石》がこのホグワーツにあるのには、それなりの訳があるのだとハグリッドは説明した。
すると、ハーマイオニーは「ねぇ、ハグリッド」と笑顔を向ける。
「私たちに言いたくないだけでしょう。でも、絶対知ってるのよね。だって、ここで起きていることであなたの知らないことなんかないんですもの」
ハーマイオニーのおだて攻撃に、ハグリッドのヒゲがピクピクと動いた。
「私たち、石が盗まれないように、誰が、どうやって守りを固めたのかなぁって考えてるだけなのよ。ダンブルドアが信頼して助けを借りるのは誰かしらね」
ハグリッド以外に、とつけ加えると、ハグリッドは分厚い胸を張る。
ハリーとロンが「よくやった」とハーマイオニーへ目配せしたのを横目で見て、シオンは苦笑いしか出なかった。