第17章 姫巫女とドラゴン
「ドラゴンだよ! ハグリッドはドラゴンの本を探してたんだ。ほら、見てごらん」
ロンが本を並べていく。『イギリスとアイルランドのドラゴンの種類』、『ドラゴンの飼い方――卵から焦熱地獄まで』などなど。
「初めてハグリッドに会ったとき、ずーっと前からドラゴンを飼いたいと思ってたって、そう言ってたよ」
ハリーが言うと、ロンが「でも」と返した。
「僕たちの世界じゃ、ドラゴンを飼うのは法律違反だよ。一七〇九年のワーロック法で、ドラゴン飼育は違法になったんだ」
魔法を知らないマグルに見つかりでもすれば、魔法の存在が知られてしまう。
それ以前にドラゴンは凶暴で、手懐けるのはまず無理だ。
「でも、シオンが連れてるゲツエイもドラゴンよ」
「月映さまは確かにドラゴンだけど、別に飼ってるわけじゃないよ」
月映とドラゴンを結びつけること自体が、横暴な考え方というものだ。
月映はドラゴンとは存在自体が全く別物である。
「だけど、まさかイギリスに野生のドラゴンなんていないんだろう?」
「いるさ。ウェールズ・グリーン普通種とか、ヘブリディーズ諸島ブラック種とか。そいつらの存在の噂をもみ消すのに、魔法省が苦労してるんだ。もし、マグルがそいつらを見つけてしまったら、こっちはそのたびにそれを忘れさせる魔法をかけなくちゃいけないからね」
そんなたくさんのリスクを背負ってまでドラゴンを飼いたいとは、ハグリッドもどんなつもりなのか。
考えても答えは出ないので、四人はハグリッドのところへ向かうことにした。
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