第16章 姫巫女と真相への一歩
グリフィンドール寮へ向かう廊下の近くで、シオンはロン、ハーマイオニーの二人とハリーを待っていた。
「ハリーったら、いったいどこにいたのよ⁉︎」
カンカンに怒ったハーマイオニーを押しのけ、ロンはハリーの両肩を掴んだ。
「僕らが勝った! グリフィンドールの勝利だ! それに、僕はマルフォイの目に青あざを作ってやったし、ネビルなんか、クラッブとゴイルにたった一人で立ち向かったんだ! スリザリンに目にもの見せてやったぜ!」
「ケンカして気を失っちゃったけど、大丈夫。マリアが付き添ってるし、マダム・ポンフリーもそう言ってたから。みんな、談話室でハリーを待ってるんだよ。席はシャーロットとシェリルが取ってくれてるの。ヒマワリはシェーマスに連れて行かれちゃったけど」
そう。現在、グリフィンドールの談話室でパーティーをやっているのだ。
ウィーズリー兄弟がケーキやら何やらをキッチンから持って来たのだという。
こんなこと、昔だったら絶対に参加しなかっただろうに、今はドキドキと興奮している。
しかし、そんな楽しい雰囲気とは正反対の表情で、ハリーは硬い表情で口を開いた。
「それどころじゃない。どこか、誰もいない部屋を探そう――大変な話があるんだ」
シオンはロン、ハーマイオニーと互いに顔を見合わせる。
どんな話があるのかは分からないが、ただ事ではなさそうだ。
シオンたちは手近な部屋に入り、鍵を閉めた。
ピーブズがいないのは確認済みだが、「シオンがいるから大丈夫」と妙な自信を持ってロンが言う。
そこで、ハリーは順序立てて、自分が箒置き場から戻るときに聞いた話をしてくれた。
城の正面の階段を降りてくる人物が、人目を避けて『禁じられた森』に入って行くのを見て、ハリーは不審に思い、後をつけたということだった。その人物は、足を引きずっていたらしい。
「……それ、もしかして……スネイプ先生?」
彼が足にケガしているのは知っている。
シオンの推測に、ハリーは大きく頷いた。