第16章 姫巫女と真相への一歩
「ネビル、マルフォイに立ち向かわなきゃダメだよ。あいつは平気でみんなをバカにしてる。だからって、屈服してヤツをつけあがらせていいはずない」
勇気づけようとロンがネビルの肩を叩く。
けれど、強い言葉で励まされたネビルは、逆に殻に閉じこもってしまった。
「僕が勇気がなくてグリフィンドールに相応しくないなんて、言わなくっても分かってるよ! マルフォイがさっきそう言ったから!」
――パンッと、軽く乾いた音が空気を震わせる。
見れば、マリアの小さな手がネビルの丸い両頬を包んでいた。
マリアの薄い茶色の瞳には、ひたむきな色が宿っている。
「ネビル、あなたは選ばれてここにいるの。誰が何と言おうと、それは揺るがない。マルフォイやスリザリン生がどれだけ否定したって関係ない。あなたはグリフィンドールの誇り高き勇敢な生徒よ」
そうでしょ、とマリアがシオンたちへ同意を求める。
それに対して、シオンやハリーたちは一斉に頷いた。
「ネビルくん。あなたはマリアちゃんのために身体を張ったじゃないですか。それも、一つの勇気の形ですよ」
「え……?」
シャーロットが優しく微笑むと、ネビルは目を丸くした。
「うん。誰にでも真似できることじゃない」
「まぁ、あなたの気が弱い事実は変わりませんけど。グリフィンドールに選ばれたからには、選ばれただけの理由があるということですわ」
シェリルとヒマワリが続く。
「ネビル、自信を持って」
あなたは一人じゃない。
悩みを聞いてくれる人がいて、その人たちはあなたを認めている。
シオンたちの言葉に勇気づけられたのか、ネビルは涙や鼻水でぐちゃぐちゃになった顔でクシャッと笑った。
* * *