第15章 姫巫女と大祓儀式
普段のシオンを知る者が見れば別人だと感じるだろう。
それほどまでに、舞台の上で舞うシオンは神聖で、穢れを寄せつけない、触れることすら躊躇われるほどの美しさを持っていた。
「……――ひかりふる――…………」
やがて、シオンは鈴を掲げ、一つの歌を詠みあげる。
それに応えるようにして、浄(きよ)らかな龍の息吹が強く吹いた。
* * *
儀式を終え、シオンはヒマワリと風呂に入っていた。
そこは少女の秘密の花園。
何人(なんぴと)も立ち入ることの許されぬ、禁断の聖域。
「シオンさまったら、肌がすべすべ……ねぇ、いったいどんなお化粧品を使われていますの?」
「そ……そんな……お化粧品なんて……きゃ! ま、待って! そんなとこ触っちゃ……っ、ん!」
「ふふ、可愛らしいお声。さっきまで、まるで神話の女神のように舞っていらしたシオンさまのこんな姿……分家の方々も想像していないでしょうね? まぁ、想像していたらしていたで……さすがのあたくしも黙ってはいませんけど……」
そんなことを言いながら、ヒマワリはシオンの裸体を撫で回した。
「ひ、ヒマワリ……それ以上やったら、怒るよ?」
「あら、構いませんわ。シオンさまは怒っても可愛らしいだけですもの。でも、嫌われてはイヤですから、今日のところはここまで。また今度に致しましょう」
そんな「今度」など二度と来ない。
けれど、一緒に寝ようと誘ってきたヒマワリを、なんだかんだと断ることが出来ず、結局同じ布団に入ることになったのだった。
* * *