• テキストサイズ

ハリー・ポッターと龍宮の姫巫女

第15章 姫巫女と大祓儀式


 ――SIDE・月映


 シオンが部屋を出てすぐ、龍宮の当主は呻くように言葉を紡いだ。

「ジョージ・ウィーズリー……ウィーズリーの家の子か……」

『現在の"ほぐわーつ"において、ジョージ・ウィーズリーとその双子のフレッドは、過去に最も教師の頭を悩ませた『最悪の"こんび"』に勝るとも劣らぬ悪戯小僧よ』

「まさか! あのジェームズとシリウスに匹敵するのですか!?」

 フンッと鼻を鳴らす月映に、当主は珍しく表情を変えて驚いた。

 ハリー・ポッターの父親であるジェームズ・ポッターとその親友であるシリウス・ブラック。

 この二人は、ホグワーツ史上稀に見る問題児と言われ、二人の通った跡には必ず問題が起きるというほど。
 ホグワーツの教師の手を煩わせ、頭を悩ませ、胃痛に苦しむ者もいたとかいなかったとか。

 どちらにしても、成績は優秀なのに問題児。
 その点は確かに、フレッドとジョージの双子も同じだ。

 月映の言葉に、当主は顎に手を当ててブツブツと呟き始める。

「……ウィーズリー家は金銭的な問題はあるものの、家風や思想に共感が持てる部分は多い。それに、現在の当主と細君(妻)は気のいい人だと聞く……しかし……それでも、大事な娘をやる相手に問題児とは……シオンが望む相手であっても……そもそも、シオンはまだ十を過ぎたばかり。色恋はまだ早い……いや、最近の子どもは心の成長が早いと聞くが……だからといって、シオンに限ってそのようなことが……」

『……そなた、よもや我の存在を忘れておるわけではあるまいな?』

 そうは言うが、月映とて思うことは同じだ。

 大事なシオンを、おいそれと他人の手に託すなどご免である。
 それが、問題児と教師の頭を悩ませる悪ガキが相手ならなおさら。

「申し訳ありません」

 そう、当主は頭を下げる。
 シオンの『使い魔』相手に。
/ 362ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp