第14章 姫巫女とクリスマス
「へぇ、シャーロットもするんだ? 今度一局つき合ってよ」
「はい、もちろん。そのときはお手柔らかに」
シャーロットがにっこりと微笑むと、マリアが時計を確認した。
「そろそろ行かないと、電車に乗り遅れるわよ」
「シオンさま、急ぎましょう?」
「うん。じゃあ、ハリー、ロン。良い年を」
クリスマスもまだだというのに、この台詞は気が早かっただろうか。
けれど、そこについて触れることはなく、二人とも「良い年を」と手を振り返してくれた。
寮を出ようとしたところで、「シオン!」と聞き慣れた声が呼び止めてくる。
「ジョージさん。どうしたんですか?」
すると、後ろでマリアたちがこそこそと話し、なぜか距離を取り始めた。
ヒマワリは何か抗議のような声を上げていたようだが、ハーマイオニーを含めた四人に無理やり連れ去られる。
それに疑問を持ちつつも、シオンはジョージに向き合った。
「間に合ってよかった。これ、せっかくだから直接渡したくて」
そう言って、細長い箱を渡される。
綺麗にラッピングされたそれを開けると、中には、月を象った紫色のガラス石を飾ったネックレスが入っていた。
「こ、これ……!」
「クリスマスプレゼント。気に入ってくれた? ホントはアメジストを用意したかったんだけど、さすがに手が届かなくて」
「で、でも……こんな素敵なもの、わたしには……」
ジョージにもクリスマスプレゼントは用意している。
けれど、とてもではないが釣り合いがとれない。
「いいよ。僕がシオンに似合うと思ったんだ。調べてみたら、シオンの名前って紫の字が入ってるだろ? だから、絶対コレにしようってね」
そう言うと、彼はケースからネックレスを取り出して、シオンの細い首につけた。