第14章 姫巫女とクリスマス
間もなくして、ロンとハーマイオニーが首を振って出てきた。
今日も収穫はなかったようだ。
「どこかで聞いた気はするのよ……でも、どうしても思い出せない! この感じ、とても気持ちが悪いわ!」
「わたしも……知ってる気がするんだけど、思い出せなくて……」
そう話しながら、四人は大広間へ引き返すことにした。
「私が家に帰ってる間も探すでしょう? 見つけたら、ふくろう便で知らせてね」
「わたしにも教えて。やっぱり、気になるし……」
「君たちも、家に帰ってニコラス・フラメルについて聞いてみて。パパやママなら、聞いても安全だろ?」
「そうだね。父上に聞いてみて……そうだ。蔵の方も見てみようかな」
龍宮本家の蔵にも、たくさんの書物が保管されている。
ほとんどが、龍宮の家や仕える妖、呪術などについて記載されているものだ。
可能性は極めて低いが、万が一ということもあるし、念には念を入れておこう。
「ハーマイオニーも。パパとママに聞くの、忘れるなよ」
返事をしないハーマイオニーにロンが釘を刺すと、彼女は「えぇ」と頷いた。
「そうね。私のパパとママは安全よ。二人とも歯医者だから」
あ、とシオンたちは口を開けて固まる。
あまりにも優秀すぎて忘れていたが、ハーマイオニー・グレンジャーはマグル生まれの魔法使い……つまり、両親に聞いたところで得られる情報などない。
にっこりと笑うハーマイオニーに、ロンは己の失言を悟ったが、すでに遅かった。
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