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ハリー・ポッターと龍宮の姫巫女

第14章 姫巫女とクリスマス


 まず、シオンたちはニコラス・フラメルが何をしたのか、どういう人物なのかも知らないのだ。

 どの本を調べればいいのかも分からず、ただ手当たり次第に本をとってはページをめくっていく。
『二十世紀の偉大な魔法使い』『現代の著名な魔法使い』『近代魔法界の主要な発見』『魔法界における最近の進歩に関する研究』などなど。

 どれにもニコラス・フラメルという名前は載っていなかった。

 だが、シオンはどうにも、聞き覚えがあるような気がしていた。
 それでも、いつ、どこで見たのか、もしくは聞いたのかが思い出せない。

 そんな中、ハーマイオニーは調べる予定の内容と表題のリストを取り出し、ロンは通路をひたすら歩きながら並べてある本を書棚から引っ張り出す。

 シオンも怪しいと思う本は目を通して見た。

「ハリー、何かあった?」

 不意に、ハリーが『閲覧禁止』の書棚に近づいていくのを見て、シオンは声を掛ける。

「うん……もしかして、ニコラス・フラメルのことが書いてある本、ここにあるんじゃないかと思って……」

『閲覧禁止』の書棚……ここにあるのは、ホグワーツでは決して教えない、『強力な闇の魔法』について書かれた本だ。
 ここの本を閲覧するには、教師のサインが入った特別な許可証が必要で、少なくとも、シオンたち新入生に許可が出されることはない。

「君たち、何か探してるの?」

 図書館の司書であるマダム・ピンスが声を掛けてきた。

「あ、あの……えっと……!」

 突然声を掛けられて軽くパニックになるシオンの代わりに、ハリーが「いえ、別に」と短く返す。

「それなら、ここから出た方がいいわね。さぁ、出なさい」

 毛ばたきを向けて振ってくるマダム・ピンスに、何か気の利いた言い訳でも言えればよかったのにとシオンは落ち込む。

 自分が人見知りをする性格なのは分かっているが、だからこそ治せないものか。
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