第14章 姫巫女とクリスマス
「図書館? 今から勉強?」
「あなたたち、最近ずっと図書館に行ってるわね。何か調べ物かしら?」
「私たちにも手伝えますか?」
「あんまり、あたくしのシオンさまを連れ回さないで下さる?」
四人を曖昧に躱し、シオンたちは図書館へ向かった。
その背中へ、ハグリッドは疑うことなく声を掛けてくれる。
「昼メシまでには戻って来いよ! ほら、お前さんたち、ハリーたちの席を取っといてやれ」
後半はヒマワリたちに向けられたものだ。
ヒマワリたちも仲間へ入れようかという提案もあったが、それをシオンが断った。
この件に、彼女たちを巻き込みたくなかったのだ。
シオンがこの件に関わった際に出会ったのは、ケルベロスやトロールのような凶暴な怪物。
それに、クィディッチでは、ハリーは殺されかけている。
相談をすれば、彼女たちは嫌な顔もせずに手伝ってくれるだろうが、危険だと分かっているのに力を貸して欲しいなどとは言いたくない。
四人が図書館で探しているのは、ハグリッドがうっかり口を滑らせた『ニコラス・フラメル』についてだ。
スネイプが何を盗もうとしているのかは分からないが、その謎の手がかりはニコラス・フラメルにあるのではないか、とハリーたちは考えたらしい。
セブルス・スネイプ犯人説には納得できないが、そのことについて、シオンは何も言っていない。
そのせいか、ハリーたち三人は、シオンも自分たちと同意見だと思っているらしい。
真犯人を特定するためには、どちらにしても、このニコラス・フラメルについて知るしかないのだ。
しかし、ホグワーツの図書館の蔵書の量は膨大で、全くもって進展はなかった。
何万冊もの蔵書に、何千もの本棚があり、何百もの細かい通路があるのだ。
そこから、一冊なのか十冊なのかも分からない本を探すのに時間が掛らないわけがない。