第14章 姫巫女とクリスマス
やがて、授業を終えたシオンは、ヒマワリたち四人と大広間へ向かう。
大きな扉を開けて、シオンたちは息を呑んだ。
大広間はクリスマス一色に染まっていた。
何百もの蝋燭がふわふわと火を揺らし、壁には柊や宿木(やどりぎ)が編み込まれた飾りが連なっている。
十二本も置かれたクリスマスツリーは、『妖精の呪文』を担当しているフリットウィックが、浮遊魔法で飾りつけをしていた。
飾りつけの指揮をとっているのはミネルバ・マクゴナガルだ。
彼女は忙しなくエメラルドのローブを翻しながら、テキパキと指示を出している。
感動から何も言えずにいると、大広間でハグリッドと話しているハリーたちを見つけた。
それに最初に気づいたのはシェリルだ。
「ハリーだ!」
弾んだ声を上げて、少女は癖のある金髪を揺らして駆けていく。
「あの子、相変わらずハリーが好きね」
「ずっと憧れていたようですから」
そんな会話をして、マリアとシャーロットはシェリルを追いかけた。
「あたくしはずっと、シオンさま一筋ですわ」
「そ、それは……あ、ありがとう?」
何と返していいか分からないので、とりあえずお礼を言っておく。
二人がハリーたちの元へ向かうと、ハーマイオニーがシオンを呼んだ。
「シオン、ちょうど良かったわ。お昼まで後三十分もあるし、図書館に行きましょう?」
ハーマイオニーの提案に、ハグリッドを含め、ヒマワリたちも怪訝な表情をする。